東京大学大学院工学系研究科 技術部

プロフィール

技術専門職員

勤務年数:3年

業務紹介

技術職員になったきっかけ

元々は研究職を目指しておりましたが、アカデミックポストに就く事は非常に難しく、これまでの研究を継続できる環境は民間で探すことも難しいという状況の中、技術職員の公募を受けました。助教職だったときは、分析に関する技術や知識を用いて学生実験実習で学生の指導を行い、空いた時間に分析装置の保守管理を行うといった業務を担当しておりました。公募内容から、技術職員の業務内容はこれまで行ってきた業務とあまり違いがない事が分かっていたため、空いた時間に研究、論文、外部資金の取得が可能である非常に魅力的な仕事だと私には思えました。

業務内容

 業務は主に学生実験実習を担当しております。実験実習に必要な試薬、器具、実験装置の準備を行い、実習でも指導に当たります。研究を始める前の3年生に、事故が起きない安全な操作、正しい結果が出るような実験技術、得られる分析結果を適切に解釈するため、分析装置の原理に則りノウハウを伝えます。また、実習がない時間帯は分析装置を共通機器として学内外問わず開放し、初心者にも使えるよう技術相談や分析支援を行います。日本語の話せない留学生でも使えるように英語で技術相談、分析支援、予約対応を行います。英語のマニュアルも自作しております。共通機器運営のためホームページも管理しております。その他学内業務としては、必要に応じ技術研修を受けるだけでなく、予算配分や技術部の円滑運営に必要な調整を行う組織での仕事もあるため、共同研究の打ち合わせや会議などは月に数回行います。さらに、空いた時間に外部資金を申請・獲得し、共同研究だけでなく独自に研究も進め学会発表や論文投稿もします。技術職員には学会だけでなく技術発表会などの、技術職員間で共有すべき研究及び業務上の成果や有益なノウハウを発表する機会があります。私は所属している学会委員としての役割もありますが、技術職員の発表会についても運営委員として活動しているため、非常に忙しい毎日を過ごしております。

 

身に付くスキル

これは担当部署によって本当に様々だと思います。私の場合は教室系の技術職員なので、該当する実習の実験知識、適切な指導方法(コーチング)、分析技術などが修得可能です。分析装置の保守管理、共通機器運営に必要なホームページ管理など、業務に必要なスキルを身に付ける事になりますが、OJTやFJTとして空いた時間に資格取得も可能です。研究をして学位を取得する方もおられます。留学生と関わる場合、英語のスキルを向上させる研修も授業もあります。最低限の業務指示はありますが、もっとこうした方がいいのでは、という指摘は殆どありません。逆に言えば、大学のプレゼンスを高めるために何をする必要があって、どういうスキルを身に付けるべきかを考え自発的に行動しないと、殆ど成長しない可能性もあります。

やりがい

 大学を支えるための技術職員の業務内容は幅広く、一人ひとり業務内容が異なります。私にとってのやりがいは、教員に比較的近い業務に携われるところだと思います。大学教員の業務は一般的に、「教育」「研究」「管理・運営」「社会貢献」の4つを担っておりますが、部署によっては技術職員も程度は違えどこの4つ全てに取り組む事が可能です。まず、職員として学生の実験技術の教育や、他の様々な研究を分析という形で支援することで大学のプレゼンスを高めることに貢献しつつ、様々な研究を知ることで研究や技術の専門性も見識も広がっている事を日々実感しております。私の場合、学生実験実習に支障がない限り、空いた時間に研究を進め社会還元のために論文を投稿することや、必要な研究費を自前で確保することも認められております。教育・研究だけでなく、職員の級位や勤続年数に関わらず調整役として大学の組織運営の一部に貢献する事が可能です。また、技術職員には技術発表会という技術職員のための発表機会もあり、学内でも定期的に開催するため、学会を含め発表する機会がとても多いです。仕事はやればやるほど忙しくなりがちですが、私の場合は子育て中のためどうしても出勤時間が遅くなることや定時で帰る必要があります。現在フレックスタイム制が導入されているおかげで大変助かっており、全体でならすと残業がほとんどない状態になっております。基礎研究や教育支援ができて仕事と育児の両立が可能なパーマネント職というのは、大学教員を除くとそうないため、とても貴重な職だと考えております。